看板娘 「とにかく明るくて、声が大きい子なんだよ」 ライフネットの第一号社員であり、しばらくは看板娘となる高尾美和のことを、出口はこのように繰り返し、評していた。 日本生命時代に出口の部下だった彼女は、学者であるご主人がフロリダに研究留学されるのを契機に同社を退職し、一年ばかり米国に住んでいたが、夏明けに帰国するとのことだった。 とにかく一度遊びにおいで、との出口の誘いに応じて僕らのオフィスを訪れた高尾にその話をすると、TシャツにGパン姿で現れたちょっと年上のお姉さんは、チャーミングな八重歯を見せて笑いながら、こう答えた。 「ハハハ。高校時代の友人には、『美和が笑ってる声は、違うフロアにいても聞こえてくる』と言われたことはありますよ」 確かに、地声は大きかった。準備会社の設立を控えた2006年9月、初めての仲間が加わった。 「出口さんと仕事をしたのは、最後の二年だけだけど。出口さんは公務部