2011年06月15日00:00 カテゴリ花新聞雑誌エッセイ 花の文化史32 白詰草 喜多川歌麿の「ビードロを吹く女」。切手にもなっている、浮世絵の名品だ。別名「ポッピンを吹く女」。女がくわえている、ガラス製の漏斗のようなものがそのようにも呼ばれるためだ。呼び名はこのほかにもチャンポン、ピンポン。いずれも、これを吹いたり吸ったりすると薄い底が立てる、ポコペコという音の聞きなしだ。 ただし、ビードロだけは擬音語ではなくガラスのことで、長崎貿易の昔、オランダ渡りのガラスはきわめて貴重なものだった。江戸の人は、舶来のガラスを科学や産業の発展に役立てようともしたが、こんな玩具を作って面白がりもした。旺盛な遊び心にはおそれいる。1メートル以上もの、とんでもなく大きなものもあったという。 オランダ船から下ろされるガラス製品の木箱には、乾草が詰めこまれていた。それがクローバーだった。詰め物に使われたクロ