突然背中や胸に激しい痛みが発生する急性大動脈解離は、発症後数時間以内に病院で治療を受けなければ命に危険が及ぶ疾患です。大動脈瘤と違って病気の発生個所が広範囲に渡り、痛みの位置も変化していくという特徴があります。ショック死してしまうことも少なくないため、特徴的な痛みの症状が現れた場合は直ちに救急車を呼ぶことが重要です。急性大動脈解離の原因と症状について、熊本大学病院心臓血管外科教授の福井寿啓先生にお話しいただきました。 急性大動脈解離とは? 大動脈の血管の内膜・外膜が裂ける病気 動脈解離とは、血液の通り道である血管の壁(血管壁)に血液が流れこみ、内膜に亀裂が入ることで、血管の内膜と外膜が裂けていく病気です。突然解離が起こる急性動脈解離と、徐々に解離が進行する慢性動脈解離がありますが、解離は基本的に急激に発症し、解離の範囲はその時点でほぼ確定します。そのため、急性と慢性の定義は解離が発症してか