ひとびとは絶えずちいさく離れてゆく うしろから 声のないひびきが深く水脈をひいて おれは聴く おれはわからない 奪われることが何かの始まり 始まりであることを (黒田喜夫 「希望の始まり」から) 大阪市がおこなった行政代執行から、ちょうど一週間がたとうとしている。 ぼくはいくつかの理由から、こうした動きが今後全国的にも広がっていく可能性があると見ているので、その意味でも、とてもあの出来事を過去のこととしてしまうわけにはいかないのだが、記憶が鮮明なうちに、あのときの自分の思いや、体験した事柄を反省し整理しておきたい。 いま思うと、自分があの日うつぼ公園に行ったのは、「その出来事が起こる現場に立っておきたい」という気持ちからだった。 「自分の目で見て、報告する」という気持ちがあったと先に書いたが、たとえ報告する手段がなくとも、またたとえ見なくとも、重要と思われる出来事の現場に自分の身を