生命が陸上にあがるにあたって、酸素濃度が関係していたという説を知ったとき、深く納得したのを覚えている。 およそ4億年前、それまであった3つの大陸がくっついてローラシア大陸が形成された。これによって大陸に囲まれていた内海が消滅、硬骨魚は淡水域(大陸衝突が形成した山脈が雨を降らせ、淡水域を拡大していた)に逃げ込む。 ところが淡水域は低酸素だったため、酸素を効率よく取り込むために、食道が肺に変化したというシナリオだ。 それに先立つ、浅海で海草をかきわけるヒレの発達が足につながったという説を含め、生命による地上進出の準備(足と肺)のいずれもが、適応の中で生まれ、結果として役立てられたというストーリーに、説得力を感じた。 本書は、生命の陸上進出だけではなく、その他の進化や幾度かの絶滅も、「酸素濃度が決めた」と物語る。 ウォードは冒頭に、印象的なエピソードを記している。 ヒマラヤ大山脈を超えていくイン
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