衆院憲法審査会できのう予定されていた審議が見送られた。安倍晋三首相が憲法9条に自衛隊の存在を明記する改憲案のとりまとめを自民党に指示し、野党が反発したためだ。 戦争放棄と戦力不保持を定めた9条1、2項は維持したままの自衛隊明記には野党の賛同者も少なくない。それでも野党が抵抗するのは、これまでの与野党論議を飛び越えて首相が性急な改正を求めたからだ。 首相は憲法記念日の集会にビデオメッセージを寄せ、9条改正の2020年施行を目指す考えを表明した。その一方、国会の質疑では、自身のインタビューが掲載された読売新聞を「熟読していただければいい」と答弁して説明を避けた。「国会軽視」だと反発した民進党に対しては「具体的な提案を憲法審査会に提出していただきたい」と挑発した。 衆参両院の憲法審査会は与野党の合意形成を重視してきた。前身の憲法調査会から引き継がれてきたのが「改憲を政局に利用しない」という暗黙の