少年犯罪や犯罪被害者遺族等を取材してきたノンフィクションライターのもとへ、ある日、見知らぬ人物から手紙が届きました。 それは何の罪もない人の命を奪った、長期受刑者からの手紙でした。 加害者は己の罪と向き合い、問いを投げかけます。「償い」「謝罪」「反省」「更生」「贖罪」--。 著者の応答からは、現在の裁判・法制度の問題点も浮かび上がります。 さまざまな矛盾と答えのない問いの狭間で、「贖罪」をめぐって二人が考え続けた記録が、『贖罪 殺人は償えるのか』(集英社新書)です。 本書の刊行を記念し、著者の藤井誠二さん、ゲストに哲学・倫理学がご専門の古田徹也さんをお招きした対談を企画しました。 昨年9月刊『謝罪論 謝るとは何をすることなのか』において、謝罪という行為の全体像に迫った古田さんにとっては、殺人という罪を犯した者の「贖罪」はどのように捉えることができるのか。 決して許されぬ罪を背負った者が「罪