以下、建築家によるテキストです。 世田谷フラット 壁式構造の共同住宅の改装プロジェクトである。第一種低層住居専用地域の三階にあり、広めの間取りと恵まれた環境の一方で、壁を全く変更できないという難点もあった。 躯体の構成は単純で、北側の長い廊下と、そこからアクセスする部屋によって成立している。部屋は必然的に廊下側と外壁側に開口部が開き、廊下と直交する壁が大きな壁面となる。私たちは、特徴的な仕上げ・キッチン・棚などの要素を、この大きな壁面に集めることでその印象を強め、躯体がもっていたレイヤ状の構成を顕在化させた。 仕上げは、コンクリート普通型枠打放し・モルタル金ゴテ・パテ扱きの上クリア塗装・構造用合板の四種がある。普通型枠打放しは古い躯体、構造用合板は新設だが、モルタルとパテ扱きは、壁紙を剥いで現れた不陸調整のためのモルタルとパテ扱きに上塗りをしたものである。古い要素でありながら新しい中間的な
![苅部寛子建築設計事務所+成瀬・猪熊建築設計事務所による"世田谷フラット"](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/9441c1a70a5766409a2769cc821e96056ab53838/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Farchitecturephoto.net%2Fjp%2Fsetagaya-flat116.jpg)