海には、まだまだ「未知」が多い。 たとえば深海。海の全体積の約95%を占める暗黒の世界で、本格的な調査が始まったのは100年ほど前。伝説とされてきた「ダイオウイカ」の動画撮影に成功した8年前のニュースを覚えている人も多いだろう。未知はほんの少しずつ解明され始めている。 しかし、もっと身近な海に関することでさえ、実は解明されていない部分が多かった。そのひとつが「漁師の勘」だ。 海の天候が変わる予兆をとらえ、沖合で魚群の位置を読み、網を入れる。養殖であれば、生簀の様子を見て、魚の調子を見極める。そうした瞬間的な判断の背景には、長年の経験の蓄積がある。だからこそ「漁師の勘」は、数値や言葉にして共有することがきわめて難しい。 しかし今、その超人的とも称される技術が、最新のAI技術によって「誰にでも使える」ものになろうとしている。 「養殖の漁師さんたちの『感覚値』をデータとして数値化し、蓄積できれば