「無理ゲー社会」と『竜とそばかすの姫』の相関関係 細田守監督のアニメ映画『竜とそばかすの姫』では、高知県の田舎町に住む女子高生すずが、インターネットの仮想世界で歌姫のベル(Belle)になり、そこで竜という野獣(Beast)と出会う。 この設定からわかるように、物語はディズニーアニメで有名になった「美女と野獣」を下敷きにしている。 私は新著『無理ゲー社会』(小学館新書)で、世界はますます「リベラル化」し、それが「評判格差社会」を生み出し、生きづらさが増していると論じた。 ここではその視点から評判のアニメを読み解いてみたい(以下、ネタバレあり)。 コクトー版『美女と野獣』は野獣が王子として甦る 「美女と野獣」はフランスの伝承で、それを1946年に詩人・小説家でもあるジャン・コクトーが映像化した。この作品では、主人公のベルは兄の友人にほのかな恋心を抱いているが、破産しかけた父を見捨てることがで