人間をどういうものだと捉えたらいいのかといつも思っている。 環境は破壊して、人間同士では弱いものを踏み台にして強いものがのさばり、弱いものはさらに弱いものを虐げて鬱憤をはらす。人間全体として自滅的で破綻的な動きを止めることができない。 多くの人がより「本来の人間性」に近づくならば、社会は変わるのだろうか。 サン・テグジュペリの『星の王子さま』で子どものときに一番印象的だったのは、王子になぜ酒を飲むのかと訊かれて「酒を飲むことが恥ずかしいんだよ」というアルコール依存症の人の言葉だった。自分が抱えている痛みや否定性は生々しく強烈で耐えきれない。それを何かをすることや得ることでごまかし、埋め、無感覚になろうとする。 事故や逃れ得ない障害や病気、数奇な運命などの受難を経て自分の殻が壊され、そこから深く回復した人たちは、社会や環境を質的に変えるような存在になっているようだ。だが人間以外も含めた他者に