2020年5月2日のブックマーク (1件)

  • せめて、いつか必ず来る3月7日の話をさせてくれ。|冬日あおい

    「ひかりのうみにて、きみをまつ。」 1 ようやくありつけた心地の良い微睡は、しかし、長続きはしなかった。 無情にも鳴るアラームの音が、夢の世界へとしがみつこうとする私を大きな力で引き起こす。 数秒の無駄な抵抗の末、観念して重い瞼を開ければ、そこは見慣れた自分の部屋だった。薄暗いどころかまだ真っ暗で、確認せずとも恐ろしく早い時間――もしくは、恐ろしく遅い時間――であることが分かる。 「さっむ……」 一年で最も寒冷な時期を越したとはいえ、春は未だ遠い――と大の寒がりである私は思う。その耐え難い寒さに容赦なく攻め立てられ、私は堪らず暖かい布団の中に頭まで潜り込んだ。 片手だけを布団の外へ出し、手探りでスマートフォンを探してアラームを止める。返す手で枕元に放ってあるリモコンを掴み、暖房を付けた。 せめて、もう少し室温が上がらないことには、布団から出られそうにない。 いや、まず、布団から出る必要があ

    せめて、いつか必ず来る3月7日の話をさせてくれ。|冬日あおい
    kyontan2
    kyontan2 2020/05/02