写真の楽しみ方には「撮る」楽しみのほかに、「見る」楽しみがある。写真を見るには、展覧会やギャラリーなどに足を運ぶことが重要だが、今回はもっとも手軽に楽しめる「写真集」の魅力をについて飯沢氏に話を伺った。 W.H.F・タルボット 『自然の鉛筆』 ファクシミリ判より 写真家の意図を伝えやすい写真集 まず「写真集とは、何なのか?」という話から始めようか。写真集は、複数の写真を並べることによって、写真家の意図を伝えるメディアなんだ。1枚の写真だけでは、写真家が何を言いたいか分かりにくいと思うし、伝えたかった意図を誤解されてしまうことだってある。意図を伝えるために複数の写真を並べるという方法論は、写真を発明時からあった。それは展覧会も同じだけど、展覧会は展示期間が限られているし、期間や場所によって見たくても見られない人が少なからずいることになる。その点写真集は、何千部、何万部と発行されるから、多くの