それは、一瞬の出来事だ。5両編成の試験列車が、遠くに見えるトンネルの出口から突然現れると、「ゴオオ」という音を響かせながら接近。「シューン」と音を立てて、目の前を1秒弱で通過し、反対側のトンネルに勢いよく吸い込まれる。 これは、超電導リニアの「営業線仕様」の車両(L0系)が、時速500kmで山梨実験線を走行し、山梨県立リニア見学センターの前を通過したときの様子だ。 現在建設中の中央新幹線が完成し、予定通り超電導リニアが導入されれば、世界最速の営業鉄道がふたたび日本で誕生するだけでなく、日本の全人口の約半分が集中する三大都市圏が約1時間で結ばれる。それらがもたらすインパクトに期待をする人は、少なからずいるだろう。 こうした概要は、中央新幹線を建設するJR東海がすでに明言しており、国が工事を認可しているので、今さら疑うのは野暮だと言われるかもしれない。 しかしだからこそ、あえて疑ってみたい。こ