ブックマーク / tentofour.hateblo.jp (27)

  • 『PSYCO-PASS サイコパス』(1期)を振り返る - ねざめ堂

    この記事は、2014年夏に放映された『PSYCO-PASS サイコパス 新編集版』(全11話への再編集・新規カット追加版)に準拠して書かれています。 感想を書くにあたっては、『サイコパス』(1期)全編にくわえて、ストーリーをつくるうえで参照したと思われる映画『CURE』(黒沢清監督 1997年)のネタバレをしています。ご了承ください。 ◯反=モノカルチャー まず、作品全体のテーマとしてはっきりと描かれるのは「反=モノカルチャー」の姿勢です。 「モノカルチャー」は、来は単一の作物に特化した農業形態を指しますが、多様性を欠いた文化や経済をあらわす言葉としても使われますね。それで、そういう多様性を排除するような社会はヤバいよ、脆いよ、というテーマ。 このアニメは今から100年後が舞台で、世界はなんらかの事情で混乱状態に陥っていて、その対策として日は鎖国状態にある。そして国内を平和に収めるため

    『PSYCO-PASS サイコパス』(1期)を振り返る - ねざめ堂
  • 成長と、その失敗の物語 〜『思い出のマーニー』感想 - ねざめ堂

    映画・原作のネタバレを含みますので、ご注意ください。 正直あんまり期待してなくて「一応おさえとくか」ぐらいな感じで先日やっとこさ観た『思い出のマーニー』…ところが、これがめちゃくちゃ良かった。エンドクレジットを眺めながら「 ”おさえとくか” なんて上から目線ですみませんでした!」と心の中で詫びました。映画館で観られてよかった。 ジブリとしてはかなり地味な作風で、(いつものジブリ基準からすると)そこまで大ヒットしていないのもわかるんですが、でも全てがものすごく丁寧に、神経を張りめぐらせて作られていることが伝わってきて、観ていて嬉しくなる作品でした。 とくにグッときたのが、メインヒロイン=杏奈視点ではまっとうな「少女の成長物語」を描いているんだけど、それと並行して、もうひとりのヒロイン=マーニー側では「成長の失敗」を描いている点。だから観賞後に作品を反芻するときに、スパイスとしてジワジワと効

    成長と、その失敗の物語 〜『思い出のマーニー』感想 - ねざめ堂
  • 「分人」の視点からみる『ゆゆ式』 ~『ゆゆ式』感想 その② - ねざめ堂

    ※その①はこちら→ 『ゆゆ式』感想 その① 今回は「分人」という視点から、アニメ『ゆゆ式』を見てみます。 「分人」は作家の平野啓一郎が提唱しているあたらしい言葉・人間観で、それについて書かれた新書(『私とは何か 「個人」から「分人」へ』)は話題になったので、ご存知の方もいるかもしれません。 記事ではまず、この「分人」がどのような概念なのか?を確認します。それから、この概念を通して『ゆゆ式』を解釈してみることで、作品のなかで人間関係がどれだけ精密に描かれていたか、を確認していくという流れで進んでいきます。 けっこう「分人」という発想におんぶに抱っこの記事です。またもや1万字ぐらいの長さになっているので、時間のあるときにのんびり読んでいただけたら嬉しいです。 ◯分人とは まずは、分人という言葉の説明から。「平野さんのなら読んだよ」という方は、次の「分人という単位の細かさ」に進んでいただいて大

    「分人」の視点からみる『ゆゆ式』 ~『ゆゆ式』感想 その② - ねざめ堂
    kyuusyuuzinn
    kyuusyuuzinn 2014/08/16
    さらに付け加えるとすれば、三人でいる時用の分人にも「分人の混乱」が生じていて、相手の反応を見つつ絶え間なく変更が繰り返されている(特にゆずこの場合それが顕著)、という点をもう少し言及されると良いかと。
  • 友情/独立/分人 ~『ゆゆ式』感想 その① - ねざめ堂

    ふと気付けば、アニメ版『ゆゆ式』の放映からはや丸1年…ってウソだろ! と唖然としたのが先月のこと。それから少しずつ見返して、先日最終話まで見終えのですが、いやーやっぱり面白いです。見ればみるほど脚も演出も緻密。 原作・アニメともに、この作品の大きなテーマのひとつとして「友情をいかにキープするか?」というのがあって、彼女たち、とくにゆずこにとっては「3人が仲良しでいること」は当たり前じゃない、特別なことです。その特別な状態をキープするために、彼女たちはコミュニケーションをとり、その過程がちょっと異様にも思えるほどの精密さで描かれていく。 今回は、作中でこの「友情をキープするためのコミュニケーション」がどのように描かれていたのかを、「キャラクターの独立性」と「分人」というふたつの視点から振り返ってみたいと思います。その①はまず「独立性」編です(「キャラがお互いもたれあっていない」という意味で

    友情/独立/分人 ~『ゆゆ式』感想 その① - ねざめ堂
    kyuusyuuzinn
    kyuusyuuzinn 2014/08/06
    よく分かる記事。自分が『ゆゆ式』の事を『ごちうさ』や『きんモザ』のような典型的な無菌系と同じジャンルに分類できないのも、まさに、この記事にあるようなキャラ間の微妙な心の動きがあるからなんだよなあ。
  • 北白川たまこの孤独と、その解消 - ねざめ堂

    わりとよくいわれることですが、『たまこまーけっと』の北白川たまこは、感情移入のし辛い主人公でした。ファンのあいだでも「サブキャラは応援したくなるけど、たまこは何考えてるのかわかんなくてちょっと不気味」なんて意見がチラホラきかれたぐらい(あ、私はたまこ大好きですよ!みどりはもっと好きだけど)。 それはどうしてか?というのを、宮崎駿監督『風立ちぬ』との比較を通して考えてみたのが、この長~い記事(『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊤ )なんですが、それが『たまこラブストーリー』でどう変わったのか?をもういちど、物語構造の検証を通して再確認してみたい、というのが今回の記事の主旨です。 『たまこま』の構造を確認するうえで、今回は『魔法少女まどか☆マギカ』と比較しています。『まどマギ』『たまこま』『たまこラ』のネタバレを含みますのでご注意ください。あと、以前に書いた記事と内

    北白川たまこの孤独と、その解消 - ねざめ堂
  • 「はみだし者」の存在意義 〜 僕らはみんな河合荘 感想 - ねざめ堂

    ※『僕らはみんな河合荘』第6話『もしかして』のネタバレがありますのでご注意ください。 アニメやまんがにでてくる「下宿」や「寮」って、「変人の巣窟」なことが多いですね。とくに、そこが作品のメイン舞台の場合。 作り手は「おもしろい話」を作ろうとしているわけなので、個性的なキャラをたくさん出しておきたい。そういう事情もあるでしょう。その環境に、比較的常識人の主人公が放り込まれて、変わり者の住人たちに振りまわされる。 こういう、共同生活の場を舞台にした「下宿もの」(勝手に命名)作品は『めぞん一刻』の昔から安定した人気があります*1。最近のアニメ化作品でいえば、「下宿もの」版『ハチミツとクローバー』といった趣の『さくら荘のペットな彼女』などが記憶に新しくて、『僕らはみんな河合荘』はその最新バージョンです。 このタイプの作品で、常識人(=ツッコミ役)の主人公は、周囲の人から「ああ、あそこに住んでるんだ

    「はみだし者」の存在意義 〜 僕らはみんな河合荘 感想 - ねざめ堂
  • 「まーけっと」から「ストーリー」へ 〜 『たまこラブストーリー』への期待と妄想 - ねざめ堂

    いよいよ公開が近づいてきた『たまこラブストーリー』。 テレビシリーズのファンとしては、すごく楽しみなんです。公開に先立って、TBSオンデマンド他で『たまこまーけっと』の全話無料放送もあるそうです。こんどの週末、4月19日(土)24:00 ~ 4月20日(日)23:59 まで。 ←終了しました。 「たまこラブストーリー」公...:ニュース | TVアニメ『たまこまーけっと』公式サイト これは嬉しい企画。 ただ、この告知ページにある "『たまこまーけっと』 を見るとさらに 『たまこラブストーリー』が楽しめる!" という宣伝文句。 これ、逆に考えれば「必ずしも 『たまこまーけっと』を見ていなくても、『たまこラブストーリー』は楽しめるよ」ともとれるわけで、おそらくその通りに『たまこラブストーリー』は、独立した1映画として楽しめる仕上りになっている… いや、なっていてほしい!と考えています。『た

    「まーけっと」から「ストーリー」へ 〜 『たまこラブストーリー』への期待と妄想 - ねざめ堂