1 はじめに 新冷戦の再来かとも思われるようなロシアによるクリミア併合への米欧の対応を見ていると、我が国の防衛は果たして大丈夫だろうかと疑念を感じざるを得ない。いざという場合に日米同盟は真に機能するのか、米国政府首脳の度重なる表明にもかかわらず、日本は疑心暗鬼に陥っていると言えよう。 今また、ウクライナ東部を巡る情勢も緊迫しつつあり、予断を許さない。ロシアが力を背景に影響力を行使し現状変更を強要するならば、欧米とロシアの対立は決定的となろう。現時点ではロシアも自制するのだろうと思いたいが・・・。 本稿は、クリミア併合への欧米特に米国の対応などを管見し、日米同盟が実効的に機能するのかどうかを検討し、我が国今後の対応の方向を論じんとするものである。ロシアの脅威については論考外である。 もちろん、日米同盟が機能しないという事態は考えたくもないし、それが単なる杞憂に終わってほしいと願ってはいるが、