今年、ついにクリスマスは滅んだ。 より正確を期せば、本来の意義を忘れモテと恋愛の格差社会の象徴としてこの日本の大量消費社会がもたらしたイベントのまやかしが、ついに破られた。 クリスマスイヴ、この聖らなる夜、無事〆切までの仕事を終えて帰途についた俺は、途中のとある駅で列車を降り買い物をしようと思い立った。 改札口に押し寄せる凄まじいまでの人集りを目にしたとき、ああそうかと俺は思い至った。きょうはあの、バランスの悪いアタック25のパネルのような赤と白と緑に囲まれて恋人達が闊歩する、まさにその夜であったかと。しかしその混雑は改札口を抜けたところではたと気にならなくなり、ふと地下道を見渡せば普段どおりの人波に、そう、まさに、落ち着いていた。ここは県内有数のターミナルステーション、しかも水曜日とはいえ年の瀬のアフターファイブであり、特別なイベントなどなくともこれくらい大勢が行き交っていて当然だ。もし