「大学1年生に戻ったような1年間でしたね。右も左もわからないので、ただ必死に仕事を覚える。私は器用じゃないので、今でもひたすら数をこなす日々です」 元プロ野球選手の木佐貫洋は、2016年から巨人のスカウトとして活動している。 高校、大学、社会人の試合に足を運び、スタンドから選手を観察する。その結果を記すスコアブックは、几帳面といえるほど丁寧な文字で書かれていた。本人は「もとが汚い字だから……」と謙遜した上で、言葉を続けた。 「スコアの付け方も、新人の時にファームで習うものですが、僕は一軍で投げさせてもらえていたので、しっかりと教わっていませんでした。すべてがイチから勉強です」 '98年夏の県大会決勝、杉内と木佐貫は投げ合った。 13年間のプロ野球人生。巨人、オリックス、日本ハムと計3球団を渡り歩いた。 「どの球団でも1年目はいい結果を残せたんです。それを持続できなかったというのが、私の力不