舞台は本場アメリカのニューヨーク。2019年12月7日、IBF世界スーパーバンタム級の暫定王座を懸けて戦ったタパレス戦は、プロキャリア33戦の中でもベストバウトに挙げる。元IBF世界スーパーバンタム級王者の岩佐は今年6月、33歳で現役引退を正式に表明し、現在は運送業などの事業を始めているが、今でもその時のことを鮮明に覚えているという。「当時と今のタパレスは少し違う」と前置きした上で、リングで向き合った狡猾なフィリピン人の戦いぶりを振り返ってくれた。 「基本的に引いて待つタイプで、距離の取り方、空間支配がうまい。常にカウンターを狙っていたと思います。例えるなら、いつも後出しジャンケンしてくる感じ。先に僕が手を出してから、それに合わせて違うパンチを出してくる。それでいて、前に出てくるときはパワーがあるし、独特のタイミングで打ってくるんです」 見えにくい角度からいきなり飛んで来る 手を焼いたのは