ちょうど時代が昭和から平成に変わる頃、近所の公園の横に「ねこのおねえちゃん」が住んでいました。家から数分のところにあるその家では、野良猫が何十匹も餌付けされ、小学校の帰りに自由に撫でたり餌をやったり出来るので、僕はとてもその家が好きでした。 ある日、一番好きな猫がいないのでおねえちゃんに「どこいったん」と聞くと、「もうすぐ死ぬんや」と、家の軒下に潜り込んでいる猫を指さしました。 猫が死んでほしくないので、爺ちゃんが飼っている庭の池の金魚を3匹盗んで持って行きました。生まれて初めての盗みでした。病気の猫はいませんでした。おねえちゃんは「この家な、もうすぐなくなるんや。マンションになるんやって」と言いました。 いつの間にか病気の猫もおねえちゃんもいなくなって、家は壊され、マンションの工事が始まりました。何とも言えない気持ちで基礎工事をする重機を眺めていると、その下から遺跡が出て、調査のためにマ