第2章 バブルの発生・崩壊と日本経済 第5節 今回のバブルの教訓 80年代後半以降発生したバブルは,日本経済に大きな負の遺産をもたらした。再びこうした事態を繰り返さないためにも,今回のバブルを振り返り,今後の教訓を明らかにしておくことが重要である。今回のバブルの教訓としては,次のような点が考えられる。 (バブルと各方面における政策運営) 第一の教訓は,バブルの経済的コストの大きさを再認識し,各方面における政策の運営に当たって,バブルの未然防止により大きな注意を払うことである。 本章で強調してきたように,バブルはひとたび発生してしまうと,資産分配を不平等化し,資源配分を歪めるなど,経済的に大きなコストをもたらす。バブルの発生は,一方では,国民各層,企業が保有する資産価値を高めることによって,一部の経済主体を富裕にし,内需を拡大させ,成長率を高める効果はあるが,これは一時的なもので,必ず反動的