第2次世界大戦末期に福岡市の九州帝国大(現九州大)医学部で起きた米国人捕虜に対する「生体解剖事件」を題材にしたドラマが13日夜、NHK総合で放送される。原案は、戦犯として死刑判決(後に減刑)を受けた元助教授のめいが刊行したノンフィクション小説。NHK職員のその息子が福岡の事件関係者に会うなどして、6年がかりで企画を実現させた。「しかたなかったと言うてはいかんのです」。手術に関わったことを生涯悔やみ続けた元助教授の言葉を、そのままタイトルとした。 事件当時助教授だった鳥巣太郎さんは詳しい事情を知らず、教授から「手伝い」を頼まれて手術に参加した。ただ教授は逮捕直後に自殺し、鳥巣さんが首謀者として扱われたという。 手術が行われた解剖実習室には医師や軍人ら十数人が集まり、肩に銃創がある米兵が歩いて入室し、麻酔で眠らされた。教授のメスで胸部が切開、肋骨(ろっこつ)が切断され、片肺が切り取られた。米兵