7人が死亡、10人が負傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件は8日、発生から丸5年となった。 一時期中止されていた歩行者天国は2011年に本格再開され、街はにぎわいを取り戻した。あの惨劇を思い起こさせるのは、事件現場にそっと置かれた献花だけだ。「事件をこのまま風化させていいのか」。被害者と犠牲者の遺族が、もどかしい胸の内を明かした。 「ここに立つと、血だらけで何人も倒れているあの日の光景が目に浮かびます」。8日午前7時20分。事件で重傷を負った都内のタクシー運転手、湯浅洋さん(59)は犯行現場の交差点で献花し、手を合わせた。被害者を介抱中に加藤智大(ともひろ)被告(30)(1、2審で死刑判決、上告中)から刺された脇腹は、今も痛む。 被告が凶行に及んだ理由を知りたくて、2010年1月から始まった裁判の傍聴を続けたが、核心部分は聞けなかった。同じ頃、被告と同世代の若者が集まるグループと事件について