埼玉県立近代美術館で「日本の70年代」展が行われている。同館が設立されたのが1982年ということで、パリ5月革命など世界的な「政治の季節」であった1968年から美術館開館までの日本を、漫画や商業デザイン、そして部分的に美術も含め回顧するという内容だった。高度成長によって世界屈指の経済大国になりつつあった社会のビジュアルのありかたを領域横断的に見渡す試みと言えるかもしれない。そしてこのような試みは、美術館が何を取り上げ何を排除するのか、という論点も当然引き寄せる。展示品と同時に「この展覧会で眼に見えないものは何か」を意識して見ることが重要な展覧会のようにも思える。 美術も漫画・商業デザインなども含めて、総じて既存の権威に対する「反」という意識、つまりメインあるいはサブカルチャー、という分別ではなく、ひっくるめてカウンターカルチャーとしてあったのだ、というメッセージは明快になっている。80年代