大阪万博のことを知らないなりにさまざまな文献を読み進めていくと、『太陽の塔』は地上、地下、空中の3層にわたるテーマ館を貫く建造物であり、すなわち空中に設けられたパビリオン(現在は解体済み)へ来訪者を運ぶための設備であったことがわかる。塔として建てられ、あとから内部にエスカレーターを設けたのではなく、「人類の進歩と調和」というテーマを見に訪れた人々を垂直に輸送するための装置だったのだ。 岡本太郎は「人類の進歩と調和」というテーマに真っ向から反対し、不気味な地底空間を人類の昔の記憶で飾り立て、塔の内部に太古から繋がる生命そのものの進化を彫刻し、壁を真っ赤に塗り、上昇する来訪者たちに痛烈なメッセージを投げかけた。精緻に組み上げられた鋼管フレームが左右の腕を支えていて、右腕の内部は大屋根の空中展示に人を運ぶエスカレーターがあり、左腕の内部には緊急時に使われる非常階段があったのだという。 海洋堂の『