記事の開幕いきなり女陰(にょいん)というのもなかなかのご挨拶だが、これがクールベ「世界の起源 (L’Origine du monde)」である。これは19世紀でもっとも猥褻な絵画と言われているらしい。2014年に、アーティストのDe Robertis がこの絵の前で自らの「世界の起源」を露出するというパフォーマンスに踏み切ったこともある。性が横溢する21世紀においてもなお、スキャンダラスな絵である。 ぼくもこの絵は好きだ。何よりタイトルがいい。絵としては写実主義というか、神秘化をさけてそのまま描いてあるわけだが、女陰をドンと置くだけでかっこいいというのもなかなかすごい。変な言いかたになるが、配置のセンスのよさというか、インテリアコーディネーターの手際みたいなものを感じる。 ぼくはさいきん知ったのだが、この絵はラカンによって所有されていたことがある。精神分析家が、神話調のキラキラした裸婦像を