京極夏彦の推薦文をもって浦賀和宏は「記憶の果て」で1998年2月に第5回メフィスト賞作家としてデビュー。同年9月には2作目「時の鳥籠」を、翌年には「頭蓋骨の中の楽園」を発表し、これを初期三部作とし安藤直樹シリーズを確立した。 さらに安藤シリーズは続き、4作目となる「とらわれびと」では『妊娠した男たちが失踪する』という京極夏彦を彷彿とさせるテーマを出し、同時にこのころから悪い癖が出始める。シリーズ番外編となる「記号を喰う魔女」で孤島としておきながらカニバリズム論を展開し、後々の作品までこのテーマは引き継がれ、ファンの一部では、新刊ではどのように人が調理されるかを待つのが楽しみとされた。 デビューから7年になるが、この間で一番調子が良かったのは2002年だろう。2001年にデビュー作「記憶の果て」を全面改稿し文庫化。シリーズ外である「彼女は存在しない」「眠りの牢獄」の発表で大きな成長を見せると