2020年6月24日のブックマーク (2件)

  • 「ブレイキング・バッド」を読み解く

    5.エンパイア・ビジネスとモラルの問題 *以下の考察は当該ドラマを最後までご覧になった方に向けて書かれております。所謂「ネタバレ」があることをご承知下さい。 ビジネスとして捉えた場合、ウォルター・ホワイトの起業は、以下のような経過を辿る。 初めにイノベーションがある。従来のドラッグ業界では「貧乏人のドラッグ」と蔑称され、粗放な施設と技術で十分とされていたメタアンフェタミン、通称メスの製造に専門知識を持ち込んで、99.1%という抜きん出た純度を達成することに成功するのだ。ジェシーがアートだと絶賛し、一時助手を務めたゲイル・ベティカーが、ホイットマンの詩を引いて賞賛するほどのプロダクトは、メチルアミンを原料に使うことでトレードマークとなる青味を帯び、市場では従来品の四倍の価格で取引される。販売はジェシーが担当するのが、起業時の分担だった。ただし小分けにした袋詰めをジェシーが単独で夜通し売り歩い

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    4. 無垢の虐殺 *以下の考察は当該ドラマを最後までご覧になった方に向けて書かれております。所謂「ネタバレ」があることをご承知下さい。 ウォルター・ホワイトが直接・間接を問わずその死に関与した犠牲者の数は200人にのぼる。そのうち167人は旅客機の衝突事故によるもの、1人は事故の責任を取っての自殺、更に1人は薬物摂取中の事故を故意に放置したことによるもの、16人が第三者への依頼によるものであり、人による殺害は15人である。ここには共犯者トッド・アルキストによる目撃者の少年ドリュー・シャープの殺害は含めていない。 全くのアマチュアの、六ヶ月ほどと推定される休止期間を挟んだ二年弱の活動の被害としては相当なものだ。が、その殆どについて人が気にしないのは、大半が広義の正当防衛か、抗争下の死と見ることが出来るからだ。ウォルター・ホワイトが幾らかでも悩むのはドリュー・シャープの死であり、一時なりと

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