今日は子育て真っ最中のママさんたちに講座を一席ぶつ日である。 「どんなふうに進めようかなぁ」と考えているうちに、足は無意識のうちに新宿御苑へと向かう。 そこで大きなイチョウの樹の下の椅子に腰掛け、「なんかくれ」と群がってくるハトをぼけーっと見ているうちに、 手は無意識のうちにザックの中から『徒然草』(角川書店編、角川ソフィア文庫、2002)を取り出している。 「ホゥ、なるほど」と感心したり、ゲラゲラ笑ったりしていたら、あっという間に一冊読み終えてしまったので、 懲りもせずに群がってくるハトを再びぼけーっと見る。 しかし『徒然草』はじつに700年近くも前の随筆であるにもかかわらず、今の雑誌に連載されていたとしても、 まったく違和感ないくらいの稀代の名エッセイである。 700年経ってもまったく色あせないという吉田兼好のその洞察眼と文章力には、ただただ敬服するばかりである。 講座の話とはなんの関