震災以降、視聴者が抱いたテレビ報道への不信感を、一番肌身で感じていたのは当事者であるテレビマンたちだった。 テレビ各局が震災後1年の特番を放送した3月11日の翌日、日本テレビ解説委員だった水島宏明氏(54)は周囲に辞意を伝え、古巣を後にした。同氏は『NNNドキュメント』ディレクターとして「ネットカフェ難民」シリーズなどを制作し、芸術選奨・文部科学大臣賞などを受賞。『ズームイン!! SUPER』にはニュース解説委員として出演していた。 現在は法政大学社会学部教授となった水島氏が、「報道現場が良くなる一助になれば」と退社の経緯を初めて明かした。 * * * きっかけは、原発報道です。震災後、報道局の幹部が突然、「今後はドキュメント番組も基本的に震災と原発のみでいく」と宣言しました。もちろん、あれだけの大災害ですから報じるのは当然ですが、それだけだと報道の多様性がなくなってしまいます