雑草が高く生い茂って太陽を遮ったり、過度に栄養を吸収したりするようになった場合にはどうすればいいのか。時々、近くの農家に頼んで羊やヤギをブドウ畑に放して雑草の成長をコントロールする。雑草の種類や勢いなどによって、土壌の健康状態や栄養状態を判断する指標にもなる。ただ、このあたりの説明は有機農業や自然農法と差異はなく、究極の有機農法といわれるバイオダイナミック農法の一端を垣間見たにすぎない。 すると、若き醸造家はさらに話を前に進め始めた。 「今から説明することに少しの間だけ心を開いて聞いてみてください」。バイオダイナミック農法では有機農法や自然農法をベースとして、太陰暦や占星術に基づいた「農業暦」に沿った収穫や剪定(せんてい)作業を行い、化学肥料や農薬に頼らず、前述の調合剤で宇宙のエネルギーも土壌や植物に取り込むという。 さらに、サビ病などの病害を防ぐためには、スギナを乾燥させて煮出して使った