地球の平和 (スタニスワフ・レム・コレクション) 作者:スタニスワフ・レム国書刊行会Amazonこの『地球の平和』は、レムの最後の長篇『大失敗』と同じ1987年に刊行された、最後から二番目の長篇SFとなる。レムの代表作の一つ〈泰平ヨン〉シリーズの最終作でもあるが、話としては大きく分かれているのでここから読んでも何の問題もない。 脳梁切断手術を受け右半身と左半身が別々の意識に操られるようになってしまった泰平ヨンのコメディ的な語り通して、軍拡競争が行き着くところまで行き着いてしまった未来社会に何が起こるのかを描き出す、SF✗スパイ小説風の長篇である。 本作のように原書刊行から30年以上の月日が経っての初邦訳となると普通期待がもてないものなのだが、そこはさすがの傑作ぞろいのレムである。既作と比べて遜色ないどころか、既作のテーマやモチーフがまるで総集編のように用いられ、そこに晩年の思考の深化もくわ

