【ここまで説明したら、美佐子ちゃんはまた次の質問をした】 美佐子ちゃん:ねね、モリモリ先生。近代日本語が翻訳を通じて成立したというのは、単語レベルにおいてだけですか?それとも欧米言語を翻訳したことによる影響は他の側面にも見られますか? モリソン:もちろん単語レベルにおいてだけではない。近現代日本語の基礎文法もその影響の下で大きく変わったと言えますよ。 美佐子ちゃん:例えば? モリソン:例えば「である」。私たちが記事、論文、エッセーなどを書くときにしょっちゅう使う、あの「である」という語尾もそうだ。ドイツ語、英語、フランス語など、ラテン語を起源とする言語にある「be 動詞」(copula)は、そもそも日本語にないから(前近代の「なり」、「はべり」、「だ」、「でござる」等を別としてね)、明治の近代化の立役者たちは欧米の諸学問を翻訳し導入する際、そのcopulaに当たるような言葉を作らねばならな
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