タグ

ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (8)

  • 何が起こってもおかしくない〈原野〉から呪いが生まれる世界で、唯一呪いを解ける少年の冒険を描き出す異世界ファンタジイ──『呪いを解く者』 - 基本読書

    呪いを解く者 作者:フランシス・ハーディング東京創元社Amazonこの『呪いを解く者』はジュブナイル系ファンタジイ長篇の名手フランシス・ハーディングの最新邦訳作にして、呪いとそれを解きほぐすことをテーマにした異世界ファンタジイだ。ハーディングのこれまでの邦訳作には『嘘の木』、『カッコーの歌』、『影を呑んだ少女』、『ガラスの顔』(すべて少年少女を主人公にしたファンタジイ)があるが、どれも違った傾向を持ちながら素晴らしい長篇ばかりで、一言でいえば「おそろしく各作品の平均点の高い作家」といえる。そのため、ハーディングは新刊が出たらまっさきに「次に読むリスト」の最上位にくる作家になっている。 で、今回も刊行されてからすぐに読んだのだけど、やーはりこれがおもしろかった。ハーディング作品は毎回単発の長篇でそれぞれ凝った設定をお出ししてくるのだけど、今回は『HUNTER☓HUNTER』の暗黒大陸みたいな

    何が起こってもおかしくない〈原野〉から呪いが生まれる世界で、唯一呪いを解ける少年の冒険を描き出す異世界ファンタジイ──『呪いを解く者』 - 基本読書
    layback
    layback 2023/12/08
  • 習慣はどうやって形成されるのか?──『習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか』 - 基本読書

    習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか みすず書房Amazonいつも通勤や通学につかっている道は、何も考えずにも動けるぐらいには「習慣」になっているものだ。むしろいつものルートとは別の方角に行く必要がある時、そのことを忘れて「習慣」に引っ張られたりする。われわれは家の鍵をしめる動作をする時に、いちいち右手でかばんの右ポケットから鍵を出して差し込み右に回し──などと意識することもなく、習慣的動作によってほとんどを無意識にこなしている。 もし、習慣を脳に形成する力がなかったら、生活は面倒くさいものになるだろう。一方で、タバコや薬物のように、悪い習慣が形成されてしまう危険性もある。こうした習慣は、脳のどのようなプロセスによって形成されるのか? また、その仕組がわかるのなら、習慣を変えることもできるのではないか? そうした問いが連続していくのが、書『習慣と脳の科学――どうしても変

    習慣はどうやって形成されるのか?──『習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか』 - 基本読書
    layback
    layback 2023/02/17
    確かに引っ越しは色々と効きそうだよな。
  • 映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』 - 基本読書

    映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術 作者:スティーヴ・ハルフィッシュ発売日: 2021/01/21メディア: 単行『映像編集の技法』は映像編集技師であるスティーヴ・ハルフィッシュが、スターウォーズにシビル・ウォーなど大作映画から『ブレイキング・バッド』のようなドラマの担当まで、50人以上の映像編集者へのインタビューをまとめた一冊である。 映像編集といっても体験したことがないと想像しづらいだろう。たとえば、一映画では当然映像は一繋がりの一しかないが、撮影時には何回も同じシーンも撮りなおし、カメラも複数台存在する。そうなったら、上がってきた映像や複数あるカットの中から、最適なものを選びとっていかなければならない。複数のテイクにいい演技が分散していたら、それをつなぎ合わせることもあるし、台詞の間をほんの一瞬切り詰めることで印象を大きく変えたり、映像の時間の流れをコントロー

    映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』 - 基本読書
    layback
    layback 2021/02/07
  • 《天冥の標》から『息吹』まで、多数の傑作SFが刊行された2019年を振り返る - 基本読書

    息吹 作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/04メディア: 単行 傑作揃いの短篇集 今年のSFでまず中心的に語っておきたいのは*1、素晴らしい短篇集が多数出たことだ。たとえばテッド・チャン『息吹』は著者一七年ぶりのSF短篇集で、『メッセージ』の題名で映画化された短篇を含む前作『あなたの人生の物語』を上回る密度を誇る傑作ぞろい。中でも表題作「息吹」は我々の世界とは仕組みが異なる異世界の生活や原理を緻密に描き出しながら、一人の科学者の脳科学・物理学の追求を通して世界の真実に至ろうとする物語で、三〇ページほどの中に世界を探求することの喜びが緻密に織り込まれている。この一〇年で読んだ中で最上の一篇である。 ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF) 作者:グレッグ イーガン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/31メディア: Kindle版他、外

    《天冥の標》から『息吹』まで、多数の傑作SFが刊行された2019年を振り返る - 基本読書
    layback
    layback 2020/01/11
  • 中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書

    三体 (ハヤカワ文庫SF) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカ歴史あるヒューゴー賞を受賞した傑作である。ヒューゴー賞受賞の何が凄いかと言うと、翻訳書としてははじめてのの受賞になるのだ。 それぐらい作品の内容が圧倒していたともいえる。で、あまりSFとは縁のなさそうなオバマやザッカーバーグも絶賛していたりとか、アニメ化が決定したりとか話題は尽きないんだけれども、とにもかくにもこれだけは覚えて帰ってもらいたいのは、この『三体』は、話題先行の内容はまあおもしろいね、いうほどじゃないけど的な軟弱な態度で読み終わる作品ではなく、その肥大化しきっているともいえる話題性に劣らない、圧倒的なおもしろさのある、純粋におもしろいSF

    中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書
    layback
    layback 2019/07/09
  • 人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書

    トリフィド時代 (人植物の恐怖)【新訳版】 (創元SF文庫) 作者: ジョン・ウィンダム,中村融出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る英国SF界にその名を轟かすジョン・ウィンダムの代表作『トリフィド時代』の新訳版が出た。僕も三足の動く植物がまあなんかスゲーんだよ!! という雑な評判は知っていたのだが読むのは今回がはじめて。第二次世界大戦の爪痕が色濃く残る1951年に刊行された作品だけれども、今読んでもめちゃくちゃおもしろい。 基的には終末世界をわずかに生き残った人間がロードームービー的に旅をしていくのだが、その世界には人間をべる凶悪な植物〈トリフィド〉がいて──と、今でいうと終末ゾンビ物のゾンビがトリフィドに入れ替わったような感じか(内容はずいぶん違うが)。ゾンビだと「死」の象徴としての側面が強いし、手垢が

    人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書
    layback
    layback 2018/08/02
  • アレルギーはなぜ増えているのか──『失われてゆく、我々の内なる細菌』 by マーティン・J・ブレイザー - 基本読書

    失われてゆく、我々の内なる細菌 作者: マーティン・J・ブレイザー,山太郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2015/07/02メディア: 単行この商品を含むブログを見るツイッタを眺めていると時々「むかしはアレルギーの人間がいなかったのは……わかるな?」みたいな、「アレルギーの人間は死んだからだよ」的な答えを誘発させようとする内容のツイートが流れてくる(実際、そう理解している人を何人もみた)。でも実際、アレルギーって現代病なんだよね。ピーナッツ・アレルギーは今や50人に1人の割合で存在しているが、1997年から2008年にかけてピーナッツ・アレルギーと診断された子どもの割合は3倍に増加した。 確かにアレルギーや喘息が昔は少なかったというと、今これだけありふれているのだから少し違和感があるのはわかる。それでも、それが現状であり、つまるところそこにはなにか理由があるのではないかと推測

    アレルギーはなぜ増えているのか──『失われてゆく、我々の内なる細菌』 by マーティン・J・ブレイザー - 基本読書
    layback
    layback 2015/07/26
  • 図書室の魔法 by ジョー・ウォルトン - 基本読書

    すべての読書家におすすめする作品。 読書家、とりわけ小説読みは多かれ少なかれ孤独なものだ。多く読めば読むほどその傾向は深まっていく。なぜなら楽しいことがたくさんあるこの世界で文字を一人で読んで多くの時間を費やす人間はそう多くはないし、いたとしてもジャンルがかぶることは多くないからだ。日に同好の士が数千人しかいないなんてことはざらで、偶然を期待して出会うにはあまりに確率が低すぎる。 文字を読む行為が基的に他人の介在を必要としないこともあいまって、小説読みというのは孤独なのだ。とくに小学生中学生高校生の頃なんかは世界が狭いし。仮に読んでいる人がいたとしてもジャンルが重なることなんて滅多にない。それはその後も同じだけど、自由に出かけていけるからね。僕がネットに文章を書くのは自分が小学生から高校生だったころの孤独がインターネットで少しでも癒せればと思うからだ。せめてネットぐらいには孤独な読み手

    図書室の魔法 by ジョー・ウォルトン - 基本読書
    layback
    layback 2014/05/09
  • 1