保育園の開設進まず 2014年7月にオープンするはずだった保育園の建設予定地=2015年4月、東京都世田谷区【時事通信社】 静かな生活を送りたいと住民が反対し、保育園の開設が進まないケースが相次いでいる。東京都では子どもの声が騒音だとして、公害紛争に発展した例も。国を挙げて子育てしやすい社会の実現を目指しているはずが、なぜこうした事態となっているのか。背景を探った。(時事通信社編集局 菊地えり) ◇高齢者ばかりの地域になぜ 東京都世田谷区の住宅街の一角に、約1000平方メートルの空き地が広がる。2014年7月に定員100人規模の認可保育園がオープンするはずだったが、周辺住民の反対を受け、いまだに着工のめどが立たない。 すぐ近くに住む女性は「この辺りに暮らしているのは高齢者ばかりで、とても静かな地域。なぜあえてここに造るのか。区は『義務だから』の一点張りで納得できない」と不満をあらわにする。