ブックマーク / d1953coldsummer.blog64.fc2.com (31)

  • ヴォイド・ファイナリィ - 『ゼロの未来』 - 1953ColdSummer

  • 『アクト・オブ・キリング』 - 殺人者の奇妙な肖像、虐殺の奇妙な再演 - 1953ColdSummer

    アクト・オブ・キリング THE ACT OF KILLING 殺人という行為(山形国際ドキュメンタリー映画祭2013) 2014/デンマーク/インドネシア/ノルウェー/イギリス 監督/ジョシュア・オッペンハイマー 出演/アンワル・コンゴ/ヘルマン・コト/他 製作総指揮/ヴェルナー・ヘルツォーク/他 製作協力/Anonymous(匿名)  60年代、密かに行われた100万人規模の大虐殺。 いまも“英雄”として優雅に暮らすのその実行者たちに ひとりの映画作家がカメラを向けた―― 「あなたが行った虐殺を、もう一度演じてみませんか?」  作には122分と159分のバージョンがあり、自分が観たのは122分経過したら終わったので短尺の方だったと思うのだけれども、逆にこちらにしか収録されておらぬ映像もあるとの情報もあって、事態は予断を許さない。あっそうそう、予断を許さん、つったら、作中でプレマン(fr

    『アクト・オブ・キリング』 - 殺人者の奇妙な肖像、虐殺の奇妙な再演 - 1953ColdSummer
  • 5分間の死の競演 『ABC・オブ・デス』 - 1953ColdSummer

    ABC・オブ・デス  THE ABCS OF DEATH 2013/アメリカ/R18+ 監督/いろんな監督 出演/たくさんの俳優 「死」のオリンピック、日開幕。 アルファベット一文字から描いた 全26編、5分1勝負のホラー・バトル!  A~Zまでのアルファベット1文字にこじつけて、色んな国の色んな監督が色んな俳優と色んな死を描く5分間縛りのオムニバス。  例えば「S」であれば『S is for Speed/スピード』(『ゾンビハーレム』(感想)のジェイク・ウェスト担当。火炎放射器がかっこいい)「E」であれば『E is for Exterminate/駆除』(女優のアンジェラ・ベティス初監督作。蜘蛛がうじゃうじゃ)「X」であれば『X is for XXL/ダブルエックスエル』(『ディヴァイド』のザヴィエ・ジャン担当。文字通り肉を削ぎ落とす描写がストイック)と、ミニマムながらそれぞれに工夫

    5分間の死の競演 『ABC・オブ・デス』 - 1953ColdSummer
  • 『ホーリー・モーターズ』 人は皆、何かになれるが、実はならざるを得ないだけとも言う - 1953ColdSummer

    ホーリー・モーターズ  HOLY MOTORS 2013/フランス/ドイツ 監督/レオス・カラックス 出演/ドニ・ラヴァン/エディット・スコブ/エヴァ・メンデス/カイリー・ミノーグ/エリーズ・ロモー/ミシェル・ピッコリ/他   嗚呼、お腹がぺこぺこだ、このままではお腹と背中がくっついて五臓六腑が口からはみ出して死ぬる、つて、目前のものに喰らいつく事しか考えていない餓鬼の如き様相で、夕飯のために適当な店に入ったのだけれども、別に即座にカウンターや座椅子に喰らいつくでもなく、しゃんと背筋を伸ばし、給仕に向かい塩蔵肉や発泡酒をくりゃれとオーダーすると、それらが運ばれてくるまで信楽焼の置物のように待っていた。腹はぐるぐる鳴る、脳内には疾く速く肉にげっつきたいと浅ましい欲望が渦を巻く、斯くした状況下で、私はひとつの気付きを得た。ただ事を摂るという行為だけにしても人は社会性のある人柄を演じる。決して

  • その感情的な善意が招いた結末 『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』 - 1953ColdSummer

    宇宙人王(ワン)さんとの遭遇  L'ARRIVO DI WANG/THE ARRIVAL OF WANG 2012/イタリア 監督/アントニオ・マネッティ/マルコ・マネッティ 出演/フランチェスカ・クティカ/他  拷問反対。  何をやっても何も感ぜぬ、何を見読しようが頭に入らぬ時期、というものが不定期にやってきて、今がまさにそうなのであるが、故に映画館からも少々足が遠のいたり、書見をしても文字が蛮族文字にしか見えなくなったり、唐突に恋愛小説を書き始めたりと、狂気のような事になってしまっており、まあ、そのまま狂気して公園に行き、ブランコをきぃきぃ揺らしながら「今日もどこかでデビルマン」を口ずさみ、時折、何かを思い出したかのようにへらへら笑うのも楽しいのかも知らんけれども、どっちかってぇと青い三角定規の方がいいかな、なんつう事を考えながらとぼとぼ道を歩いていると、丸っこい、もふもふした可愛らし

  • 『悪魔の毒々モンスター<ノーカット無修正完全版>リバイバル』 日本よ、これがトロマだ!!! - 1953ColdSummer

    悪魔の毒々モンスター<ノーカット無修正完全版>リバイバル THE TOXIC AVENGER 1984/2013/アメリカ/R18+ 監督:マイケル・ハーツ 製作・撮影:ロイド・カウフマン 出演:ミッチェル・コーエン/マーク・トーグル/アンドリー・マランダ/他   もしも時間を逆行する事が出来たなら、過去の自分を、まあ、手斧や金槌で、とまでは行かなくとも、げんこつでぽかりとやってしまいたいというような、そんな切なさ、恥、といったものは多くの人が抱え続けているだろう。  少しく思い返してみても、でんべべ節を唄っていたら、「それ、ずんべべ節だよ、阿呆」と真顔で窘められたり、脳漿を絞り上げるようにして書いた現地グルメレポートを、「はは、これは優れた松清張だね。火サスの脚でも狙っているのかい?」とゴミ箱に放り投げられたり、穴があったら入りたいというか、顔を真っ赤にして削岩機で穴を掘りたくなる恥

  • 疑惑と拷問は女体盛りを中心に 『SUSHI GIRL』 - 1953ColdSummer

    SUSHI GIRL  SUSHI GIRL 2012/アメリカ/R15+ 監督:カーン・サクストン 出演:トニー・トッド/ノア・ハサウェイ/マーク・ハミル/千葉真一/ダニー・トレホ/他  自分というにんげんがこの世に生まれてそれなりに歳を経た。  彼の南方熊楠は、二十歳かそこらの時には手前一人で渡米し一悶着起こしたというが、わたしはその頃は不貞寝をしてばっかりだったような記憶があるし、じゃあ今現在は何をしているかというと、キャンディマンの指示のもとルーク・スカイウォーカーがアトレイユを拷問する映画を、肘枕をつき、陰嚢の辺りを揉みながら観ていた。プラグマティズムに沿った経年である。  何故ゆえにキャンディマンの指示のもとルーク・スカイウォーカーがアトレイユを拷問しているかという事を説明せねばいけなかろうとも思うので、ワガの不如意を呪いながら説明をするが、まあ、これはやくざの内輪揉めの話で、

  • きちがい村の拷問殺人ショウ 『インブレッド』 - 1953ColdSummer

    インブレッド  INBRED 2012/イギリス 監督:アレックス・シャンドン 出演:ジョー・ハートリー/他  弁当持ちの少年少女たちが社会奉仕活動のためケアワーカーさんに連れて来られたその村は、奇形と変態が蠢くきちがい村でした。つうお話。  ホラー映画としては極めて優等生的な作りでござんして、オビの「「出るか? 殺しのハイスコア! 狙え鮮血の金メダル! ロンドン五輪に続き、鬼畜村の殺人オリンピック、只今開幕!」て惹句がちょっとやかましくも感じ、手をひらひらさせながらあーはいはい、ってやっていると、人間の口にホースを突っ込みそこから糞尿を注入、やがて爆ぜた肉体から屎尿と血が飛び散る、てな小癪な演出があったりするので中々に油断できぬ。  ホラー・ジャンルが自己組織化から意図的に逸脱しつつあるのは『キャビン』(自分の感想はこちら)なんかに顕著で、はな、メタ化する、はな、前衛化する、はな、奇を衒

    lbtmplz
    lbtmplz 2013/04/16
    映画 グロテスク
  • 生きるって事はポルノって事 『どんずまり便器』 - 1953ColdSummer

    どんずまり便器 2012/日 監督:小栗はるひ 出演:菜葉菜/他  散切り頭をぴしゃぴしゃ叩きながらワガに内在するアニマに話しかけているのだが、何故斯様に女性性と交信すべく散切り頭をぴしゃぴしゃ叩いているのかと申しますと、これはもう観る側の倫理が女性性、具体的に言うと女性の中心、俗な言い方をするとま◯こによって規定されておるからであり、◯んこによって全容が明かされる作品である以上、散切り頭をぴしゃぴしゃ叩いてジェンダーを乗り越えねばこれを論じる事能わずと確信したからである。あ、今回観た映画『どんずまり便器』のお話ね。  実弟との間にいけない秘密を隠し持った女性が凶行に及び収監され、釈放されてみたら弟は気に入らねえ女と同棲していました。  つうのが概要であるが、はな、そんな文脈を糞真面目に追求するのはすべての公民権を返上させられた挙句それを労務とされた奴隷がやるような事で、要は女性観をどう

  • トップダラー禍津が今年観た映画/2012年ベスト10&ワースト! - 1953ColdSummer

    映画Twitterの組み合わせはこれ不幸と悲劇しか生まずして、はな、乃公は人間やめますかそれともTwitterやめますか、なんつうところまで、まあ、別に追い詰められたわけではないのだけど、今年は当に楽しかったことと、当にきつかったことが御座んして、部屋を真っ暗にして小一時間虚空を眺めていたり、茶を点てたる後、茶筅をふんふん振り回しながら茶碗に叩きつけ、何喰わぬ顔をして用便に行き、これまた小一時間虚空を眺むるなどし、兎角虚空を眺めてばかりおった記憶があるので 「今年のベスト映画は何ですか?」 「虚空」  ということで茶を濁そうかとも思ったのであるが、茶を濁そうにも前述の如くに茶筅を振り回して茶碗を破壊したので濁す茶も無く、渋々、あっこれは渋茶とかけたのですけどね、渋々、今年観た映画ベスト10であるとか、ベスト10予備軍であるとか、観た後に口角を曲げ半笑いになり、かつせせら笑ってこんな映

    lbtmplz
    lbtmplz 2012/12/30
  • 究極に近しいカオスとの多幸感あふれる邂逅 『KABOOM』 - 1953ColdSummer

    KABOOM  Kaboom 日公開未定 第20回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭上映時タイトル『カブーン!』 2010/アメリカ/フランス 監督:グレッグ・アラキ 主演:トーマス・デッカー  生を希求する意思を放棄、半ば死んだようになって鼻くそをほじったり、それを丸めて飛ばしたりしておったら、電子メールが、ティロン♪ と届いたので、ティロリロン♪ と口ずさみながらメールボックスを開くと、「尊公はマーケットプレイスで中古品を購入、これに金を支払った。故に尊公には店舗を評価する義務がある。ささ、はよう星を付けて評価致せ。悪いようにはせぬから」といった文言が綴られており、何も言わずこれを削除、その後また死んだようになって鼻くそをほじったり、それを丸めて飛ばしたりしておったら、だいたいに於いて人間は、買い物をするために生きておるのだ。乃公がこのように死んだようになっておっても、家賃や光熱費、青汁

    lbtmplz
    lbtmplz 2011/11/13
  • 『仰天カルト・ムービー100』を読んだ。 - 1953ColdSummer

    映画秘宝EX 映画の必修科目01 仰天カルト・ムービー100  編集:松崎憲晃 出版:洋泉社   竹べらで自分の尻をスパンキングしながら、カルト映画とは如何な映画をこれ指して言うのか、ということを考えておる。    はは、カルト、ねえ。  闇の中、隈取りを施された猿股姿の男が、とんぼをきりながらカメラの方に向かってくる。そこにだだだん、銃声とマズルフラッシュ。そして物言わぬ骸と化した隈取り男を踏みつけながら、ライフルを片手にサンリオキャラクターの着ぐるみを着用した男が政治献金問題について蕩々と語り始める……。  なんてのは、ただの訳の分からぬ映像なんであって、これはカルトであるとは言い難い。  もともと自分には、物事のカテゴライズ、区分け、整理、なんて行為に対する神経症的なきらいがあって、これはサスペンスだね、それはSFだね、そこを行くブスの顔面はホラーだね、と、きっちりとカテゴリに収めね

  • 『リセット』 誰も居なくなった街並みの闇に、何を思いますか。 - 1953ColdSummer

    リセット  VANISHING ON 7TH STREET 2011/アメリカ G 監督:ブラッド・アンダーソン 『マシニスト』でクリスチャン・ベイルの肉をゲッソリこそげ落とし、我々の度肝を抜いたブラッド・アンダーソン監督最新作……なのだが、正味の話、あまり面白くは無い。  現在日で翻訳されているモダン・ホラーをすべて読んでいるわけではないので偉そうなことは言えないのだが、とにかく、作はキングというかクーンツというか、そうしたペーパーバックを源流とする「奇想」の枠外に出るものではなく、良く言えば王道的な不条理ホラー、悪く言えば既視感溢れまくるアイデア一発勝負、である。アイデアで勝負しようと作ったものが、既視感溢れまくってちゃそりゃ駄目ですわな。  お話は簡単なもので、ある日いきなり人間たちが服や持ち物だけを残しストンと消えてしまった。日照時間は減っていき、電気も止まってしまっている。そ

  • 残酷無残封建社会にテロリズム!『十三人の刺客』 - 1953ColdSummer

    十三人の刺客(2010) 2010/日 PG12 監督:三池崇史 原作:池宮彰一郎『十三人の刺客』(1963年東映映画)  勤め人、というものは哀れなもので、組織に勤めているからには上司が居り、そしてその上司が賢人ならば幾許かの救いはあろうが、もしも上司がアパパであった場合、己が行く道は冥府魔道、組織に勤めている以上は、茨で舗装された地獄道以外の選択の余地の一切が無くなってしまうのである。  ああ、分かる、分かるぞぅ、うちの上司は間違いなくアパパだ、お冷をもう一杯、なんて白木屋辺りで管を巻いているサラリーマン、上司のアパパから毎日セクハラ三昧でどうにもならん、とネガティブな怒りをくゆらせつつドトール辺りでカフェインを喉に流し込むOL。そう、現実というものは何時だって残酷なもので、悲しきかな、邦に於ける企業会社機構組合などに代表される営利組織の内情としては、ええと正確に調査したわけで

  • 『ゾンビ映画大マガジン』には玉も石も糞も味噌もたくさん載っているよ! - 1953ColdSummer

    別冊映画秘宝 ゾンビ映画大マガジン  編集:伊東美和 出版:洋泉社  『ゾンビ映画大事典』の続編的な内容であり、映画秘宝ムックで一番分厚く、なのにお値段は『ゾンビ映画大事典』の約半分! どうだ、まいったか、この腐れゾンビ野郎! といった具合に、非常にリーズナブルなゾンビ映画ガイド。 『ブレインデッド』や『ショーン・オブ・ザ・デッド』といった新旧の名作から、2002〜2010の年代別に、300作に渡る日リリース作品及び、ええと、名前も聞いたことのないようなクズ面白さが不自由そうな外国の小品までをもを網羅。冒頭に於けるゾンビ座談会から、各種のコラムなど至れり尽くせりの内容。書を一読すれば、酒の席、スピーチの壇上、寿司屋の枡席などに於いて、ゾンビ映画に関する知ったかぶり、じゃなかった、一家言っぷりを発揮することができるであろうと思われる。実際わたしなどは、書を読了した夜から何だか身体が痒

  • ものすごい映画を観た。『堀川中立売』 - 1953ColdSummer

    堀川中立売 2010/日 監督:柴田剛  岡山市はシネマ・クレールで初日舞台挨拶あり、ということで、唐草模様の風呂敷で旅支度をし、33℃という灼熱地獄の中、いそいそと『堀川中立売』を観に行ってきた。「ほりかわなかたちうり」と読みます。京都に実際にある地名。おほっ。 『おそいひと』(自分の感想はこちら)の柴田監督最新作。  とは言い条、重度の脳性麻痺の障害者が殺人を繰り返す、といったショッキングなコンセプトがまず有った『おそいひと』とは対極的に、お話はサラッとしたものである。公式サイトから引用してみよう。 大妖怪・加藤 the catwalk ドーマンセーマンは、長年地球侵略を画策していた。 それを察知し、密かに地球に降り立ったギャラクシー・フォースのリーダーは、京都と呼ばれる地で安倍さんと名乗り、陰陽師として人々に畏れられる存在となった。 安倍さんは加藤の「ドロップアウトを許さない 人類

  • 『神の子どもたちはみな踊る』それ、本当にあなたの意思ですか? - 1953ColdSummer

    神の子どもたちはみな踊る ALL GOD'S CHILDREN CAN DANCE 2010/アメリカ PG12 監督:ロバート・ログヴァル 原作:村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』  トラン・アン・ユン『ノルウェイの森』(自分の感想はこちら)の影に隠れ気味ながらも、インディーズ・ムービーとしていつの間にか撮影されていたロバート・ログヴァル監督の長編デビュー作品。  村上春樹の短編集の表題作『神の子どもたちはみな踊る』の映画化であり、主人公ケンゴは中国系に、舞台はコリアン・タウンへと、大胆な換骨奪胎が成されていて、多国籍風なエキゾチックさに視覚を通じて脳味噌をくすぐられる感じが心地良い。宗教というたいへん面倒臭いテーマを扱いながらも、画面の端々に至るまで神経を行き届かせ、宗教の胡散臭さ、無意味さ、現実逃避といった負の要素を希釈することにはまあ、成功しているのだろうと思う。それが監督の意図

  • 混沌が支配する。『アンチクライスト』 - 1953ColdSummer

    アンチクライスト ANTICHRIST 2011/デンマーク・ドイツ・フランス・スウェーデン・イタリア・ポーランド R18+ 監督:ラース・フォン・トリアー  無宗教者、無神論者を気取ったり、悪魔主義に傾倒したりするという行為は中々に矛盾を孕んでいるものだ、というのはいちいち自分が指摘する間でもなく、無宗教者、無神論者を気取ったり、悪魔主義に傾倒したりしている人間自らが一番に自覚しているであろうと思われる。  というのも、砕いて言うと、無宗教や無神論は「在る」ことを前提とされているものを「無い」と言い張る論法のひとつであって、悪魔主義なんかも、裏を返せば神様を信じている証左に他ならず、片方を立てればもう片方も立ってしまう。このパラドキシカルな矛盾が反キリスト者たちの愉しみであり、克つべき主題でもある。  さて、『アンチクライスト』だが、これはその題名とは裏腹に、反キリスト思想を大々的にフィ

  • 『トラウマ映画館』はあまりにもフリーダムだった時代を回顧する良質ガイドブック。 - 1953ColdSummer

    町山智浩が10代のころにテレビなどで観たという、様々な「トラウマ」を刻み込んだ25映画をキャッチーな語り口で紹介するある種のガイド。  目録は以下の通り。 1 「消えた旅行者」は存在したのか?――『バニー・レークは行方不明』 2 孤高の鬼才が描く、アイドル政治利用――『傷だらけのアイドル』 3 人間狩りの果てに言葉を超えた絆を――『裸のジャングル』 4 『エクソシスト』の原点、ルーダンの悪魔祓い――『肉体の悪魔』 『尼僧ヨアンナ』 5 世界の終わりと檻の中の母親――『不意打ち』 6 ハリウッド伝説の大女優、児童虐待ショー――『愛と憎しみの伝説』 7 少年Aが知らずになぞった八歳のサイコパス――『悪い種子』 8 あなたはすでに死んでいる――『恐怖の足跡』 9 奴らは必ずやって来る――『コンバット 恐怖の人間狩り』 10 初体験は水のないプールで――『早春』 11 古城に吠える復讐の火

  • 『マルチ・サーカズム』 奇行に走った環境の方も強調しやがれ。 (2010/アメリカ 監督:ブルックス・ブランチ) - 1953ColdSummer

    1953ColdSummer : 『マルチ・サーカズム』 奇行に走った環境の方も強調しやがれ。 (2010/アメリカ 監督:ブルックス・ブランチ) 建築家として名を馳せ、美しいと愛らしい娘に恵まれ幸福な家庭を持つ男、ガブリエル。そんな彼を誰もが羨み、傍目には幸せの絶頂に居るように見えていた……のだが、ガブリエルは、ひとつの疑念に囚われていた。  当に、今、自分は幸せなのか? この状態が幸福なのだろうか?   そして、ガブリエルはふと芝居の脚を書いてみようと思い立つ。どこからどう見ても幸せである自分の生活に潜む惨めさを抉り出そうと――。  そんなガブリエルに反発する。しかしガブリエルは芝居を作るのをやめようとはしない。当の幸福を知りたいが故に。  自分が「幸せな家庭」という概念をまったく理解出来ない人間なので、いまいち感情移入し辛かった映画なのだが、社会一般の常識道徳モラルマナー性