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  • 夢宮殿 - 情報考学 Passion For The Future

    ・夢宮殿 アルバニアを代表するノーベル文学賞候補作家による反ユートピア小説。やっと文庫化された。寓意に満ちていて非常に面白かった。 19世紀のオスマントルコらしき世界で、国民の見る夢を収集する巨大な官僚機構 夢宮殿。そこは何千人ものエリート官僚が働く秘密主義の機関だった。全国から集まる膨大な数の夢の報告を<受理>は受け取り、<選別>課は重要性で分類し、<解釈>課は隠された意味を読みとる。そして夢宮殿の最高機関<親夢>は、上にあがってきた夢の中から、帝国の運命にかかわる予兆を含む「親夢」をひとつだけ選びだして、皇帝に伝える。それが戦争や平和、国家プロジェクト政治的粛清の意思決定につながることもある重大な仕事だ。 国の名門キョプリュリュ家に生まれたマルク=アレムは縁故で夢宮殿に就職し、大臣や知事を親戚に持つ家柄の力で、順調に出世の階段を昇っていく。国家に奉仕する巨大官僚機構の恐ろしさ、滑稽さ

  • 人間集団の本質に迫る前衛的な映画『ドッグヴィル』と『マンダレイ』 - 情報考学 Passion For The Future

    ラース・フォン・トリアー監督脚の「機会の土地-アメリカ」三部作のうちの既に公開された2作品を観た。演劇舞台とナレーションを使った前衛的な表現にひきこまれた。 両作品とも倉庫のようなだだっ広い空間のみが映画の舞台。床には白線が描かれていて、それが家の境界線を表す。後は簡易的なセットがあるだけ。十数人の村人たちは、壁があるふり、ドアがあるふりをして、それぞれの家での家族の生活を演じている。カメラはその演技を追うのだ。 ・ドッグヴィル プレミアム・エディション [DVD] 大恐慌時代のロッキー山脈のさびれた鉱山町ドッグヴィル。貧しく保守的で平和な村に、ある日、ギャングに追われた娘グレース(ニコール・キッドマン)が迷い込む。村人たちは道徳心から彼女をかくまってやることにする。グレースはその代わり、村人たちのために奉仕労働をすることを約束した。 親切な村人たちと献身的なグレースの間に平穏な日々が続

  • オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険 - 情報考学 Passion For The Future

    ・オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険 学術的には否定されているのに既成事実として何度もよみがえる心理学の話や考え方を叩き割る。 第一章のオオカミに育てられた少女アマラとカマラの話は作り話だったという事実に驚かされた。この事件は幼児期の大切さを説く材料として日の小学校の道徳や高校の倫理の教科書にも使われてきた。私も学校で聞いた記憶がある。 アマラとカマラについては、発見者らによって詳細な観察日誌(和訳も出版されている)や写真が大量に残されている。二人の少女らしき人物がいたことは事実のようなのだが、オオカミに育てられた、だとか、保護された後の生育状況などは真っ赤な嘘らしい。著者は専門家ならばすぐに見破れる大きな矛盾を幾つも指摘している。ところが、当時、資料を真に受けた発達心理学者の大物がアメリカに紹介したために、マスメディアが大きく取り上げて、世界中が当の話だと信じ込んでし

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    lbtmplz 2010/09/07
  • 裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 - 情報考学 Passion For The Future

    ・裸はいつから恥ずかしくなったか―日人の羞恥心 ペリーの日遠征に随行した画家の「下田の公衆浴場」という絵には、全裸の男女が秘所を隠すこともなく混浴の浴場でくつろぐ様子が描かれている。若年や中年の男女が多いが、誰も互いの裸体に欲情していないし、恥ずかしさも感じていないことがみてとれる。この絵を見たアメリカ人は日人を「淫猥な人たちだ」といい、フランス人は「日人に羞恥心はない」といい、オランダ人は「男女の性別を気にしていない」といって驚き、そして軽蔑した。 150年前の日では「男女が無分別に入り乱れて、互いの裸体を気にしないでいる」のは普通だったのだ。江戸時代の日人にとって、裸体は顔の延長のようなものであり、現代人の我々がスッピンの顔を見られても恥ずかしくないように、裸を見られても平気だった。 江戸時代の日人がいかに裸に対しておおらかだったか、具体的な記録から明らかにされる。若い娘

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    lbtmplz 2010/08/27
  • 日本のセックス - 情報考学 Passion For The Future

    ・日のセックス 色モノだけど大傑作。面白い娯楽小説をお探しならぜひ読むべきです。 それにしてもなタイトルなのでカバーをつけないと外で読めませんが、横着な私はカバーはつけないで、帯をずらすことで背のタイトルを隠しながら(日の、だけ見える状態にする)、電車で読んでいました。でも、それだとやっぱり、前の人に「のセックス」を読まれちゃうかもしれないですし、卑猥な言葉ばかりの文が隣からのぞかれちゃうんじゃないかとドキドキで、落ち着きませんから、やっぱりカバーをつけてゆっくり読むしかないですね。あ、ちなみにこれは小説です。 美人のを他人に抱かせることに無上の喜びを感じる佐藤と、そんな変態の夫に従って300人以上に抱かれ、マニアの雑誌への投稿にも同意するの容子(東大卒)。夫につきあわされているようなそぶりでいながら、実は容子も決してキライではないのだ。二人は週末にはスワッピングマニアのコミュニ

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    lbtmplz 2010/08/17
  • 音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか - 情報考学 Passion For The Future

    音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか 認知心理学者、神経科学者であると同時にレコード・プロデューサーとしての異色のキャリアを持つ著者が、音楽を脳はどうとらえているのか、研究成果を一般向けにわかりやすく語る。クラシックだけでなくロックやジャズなどのポップスを研究材料としてしばしば取り上げている。ビートルズやストーンズ、ジミ・ヘンドリクやチャーリー・パーカーが脳にどういう影響を与えるかというなのだ。 音楽の魅力はどこから来るのか?。それは脳にとっての予測可能性と意外性のバランスであると著者は答えている。 「音楽は、期待を体系的に裏切ることによって私たちの感情に語りかけてくる。このような期待への裏切りは、どの領域──ピッチ、音質、音調曲線、リズム、テンポなど──でも構わないが、必ず起こらなければならない。音楽では、整った音の響きでありながら、その整った構成のどこかに何らかの意外性が必要

  • 殉教 日本人は何を信仰したか - 情報考学 Passion For The Future

    ・殉教 日人は何を信仰したか 「日における殉教のあり方は、世界のどこにもない特殊なものである。ローマ時代、キリスト教徒が迫害された時代は別として、わずか二十数年という短期間に確実に四千人を超える大量の殉教者が出たことは稀である(松田穀一「日切支丹と殉教」)。特に日における殉教は、後述するようにいかなる勧誘にも拷問にも屈せず行われた点で、特筆すべきものだと思われる。」 江戸時代のキリスト教弾圧は有名だが、実際には内面の信仰を厳しく問うわけではなく、表向き信仰を捨てたふりをすれば容易に許される程度のものだったそうだ。しかしキリシタンたちは、迫害されて死ねば天国に行けると信じて、敢えて役人が管理するキリシタン名簿に載りたがり、捕まると進んで信仰を告白し、厳しい拷問にも屈せずに死んでいった。 著者はキリシタン弾圧の実態を史料を読み解くことで、当時の政治的社会的な背景や実際にとられた政策を明

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    lbtmplz 2010/04/15
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