兵庫県立考古博物館(播磨町大中1)の職員が興味深い話を教えてくれた。「土器や石器など出土品は、落とし物のように警察に届け出るんですよ」。太古の持ち主が名乗り出ることは考えられないのに、なぜ届けるのだろう。それに出土品が落とし物なら、古代人の骨が見つかれば死体遺棄事件になるのではないか。調べてみると、昔の人の暮らしを未来に伝える工夫が、法律や制度に施されているようだ。(門田晋一) 同館などによると、出土品の所有者が不明な場合、文化財保護法や遺失物法に基づき、兵庫県内なら文化財認定の権限がある県や中核市以上の教育委員会は「埋蔵文化財発見通知」を作成。それ以外の市町教委は「埋蔵物発見届」を準備し、それぞれに出土品の数量や一時的な保管場所を示す保管証を添えて警察署に提出する。 警察は出土品を引き取らないが、公告した書類を署内で6カ月間張り出す。この間に所有者が現れない場合、埋蔵文化財発見通知が出さ