データサイエンティスト──。ビッグデータを分析して業務を変革し、社内にイノベーションを起こす人材の総称である。最近にわかに注目を集めるこの職種だが、話題先行で実体がまるで伴っていないとの厳しい指摘があるのも事実である。 そんななか、私は2012年秋に、大阪で1人の男性と出会った。彼こそ、私がイメージしていたデータサイエンティストそのものだった。 河本薫(46歳)。大阪ガス情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長で、10人から成る社内分析チームを率いるリーダーである(写真)。 常に腰が低く、気取ったところが全くない。「俺が分析してやる」といった嫌味な感じは一切しない。 この第一印象に、私はとても好感を持った。と同時に、“本物”のデータサイエンティストには欠かせない素養なのだろうなと感じた。映画に出てくる「触れると切れそうな堅物の分析官」のイメージとはかけ離れている。 河本所長の専門は、ガス会