わが家には「キョーイクチョクゴ」がありました。 それは、わたしが小学校に入る頃くらいからだったでしょうか、ことあるごとに母親から、くどくどと言われていました。それは「にほんじんよりも、えらくなりなさい」という言葉でした。その意味するところは、「おまえは、にほんじんではないのだから、にほんじんとおなじくらいのできでは、さべつされて、まともなしごとにつくことはできません。だから、にほんじんよりもうんとえらくなって、そして、さべつされないような、じぶんのぎじゅつでたべていけるような、そんなりっぱなしごとにつけるようになりなさい」というものでした。わたしは、小さいときから、母親からそんな教育をほどこされていたので、こども心にも、そっか、にほんじんよりもうんとえらくならないと、いい仕事につくことが、できないんやあ、お父さんとかお母さんみたいな、そんな小さい工場で働くような仕事しかできへんねやあ、と