「この図書館には、世界とつながる『どこでもドア』があると思って下さい。文献、情報は草の根分けても探します。文献になっていないものはあなた自身が研究して」 島根県立松江南高校の学校図書館。4月、1年生向けのオリエンテーションで、学校司書の漆谷成子(うるしだにしげこ)さん(52)が語りかける。本がきっかけで宇宙研究者を目指した卒業生の研究論文が、一流科学誌「ネイチャー」に載ったという記事を紹介し、視野を広げる姿勢の大切さを訴えた。 同高は県内屈指の進学校。講義型の授業が多いが、自分自身で調べ、結果や意見をまとめて発表する「探究型」の授業も増えつつある。例えば2年では「人権」をテーマに、グループで調べ学習をさせ、結果をまとめたポスターの前で全員に口頭発表させる。学校司書は、情報の探し方や話の聞き方、発想法など、「学び方」の指導にもあたる。 5年前に漆谷さんが着任した時、図書館は「受験勉強の自習室