憲法施行から70年の節目にあったこの1年で、はっきりしたことがある。それは、安倍政権が憲法改正を進める土台は崩れた、ということだ。 そもそも憲法とは、国民の側から国家権力を縛る最高法規である。行政府の長の首相が改憲の旗を振ること自体、立憲主義にそぐわない。 それに加え「安倍1強政治」のうみとでもいうべき不祥事が、次々と明らかになっている。憲法の定める国の統治の原理がないがしろにされる事態である。とても、まっとうな改憲論議ができる環境にない。 ■統治原理ないがしろ この3月、森友学園との国有地取引をめぐる公文書の改ざんを財務省が認めた。 文書は与野党が国会に提出を求めた。改ざんは、憲法の基本原理である三権分立、その下での立法府の行政府に対するチェック機能を損なうものだ。民主主義の根幹にかかわる重大事なのに、政権はいまだに改ざんの詳しい経緯を説明していない。 いま政権を揺るがす森友学園と加計学