近年の細野晴臣は音楽を「考古学」として捉え、地層を掘り起こすことによる発見を若い人に伝えることで、意欲的に音楽文化を継承しようとしている。そして、日本のフォークという地層を掘り起こしたとするならば、絶対に避けて通れないのが高田渡の存在だ。生涯、酒と詩を愛した吟遊詩人として知られ、2004年の映画『タカダワタル的』によって、彼の生き方の虜になった人もきっと多いはず。北海道での急逝から今年で早10年。初のオールタイムベスト『イキテル・ソング~オールタイム・ベスト~』と、息子の高田漣によるトリビュート盤『コーヒーブルース~高田渡を歌う~』は、いわば音楽の歴史をたどる旅であり、親子の歴史をたどる旅でもある。 高田漣といえば、細野晴臣からくるり、星野源に至るさまざまなミュージシャンのバックを務め、ペダルスティールをはじめとしたマルチな弦楽器奏者として知られている。また、ソロアーティストとしてもインス