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  • 『乗っ取られた聖書』 秦剛平 (京都大学学術出版会) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 聖書が「乗っ取られた」とは穏やかではないが、「七十人訳聖書」を一般向けに紹介したである。聖書文献学の入門書にはおもしろいが多いが、書もめっぽうおもしろい。 「七十人訳聖書」とは妙な名称だが、アレキサンドリアに大図書館を築いたプトレマイオス二世のために、エルサレムから招聘された七十二人の長老が七十二日間かけて「モーセ五書」のギリシャ語訳を完成させたという伝説があるので、こう呼ばれている。長老たちは別々に翻訳をおこなったが、出来あがった訳文をもちよってみると、一字一句にいたるまで完全に一致していた。「七十人訳」は神の霊感を受けて完成した完全無欠な翻訳であり、いかなる改変も許されないとされてきた。 もちろん、これは伝説にすぎない。伝説中の史実に誤りがあるだけでなく、「七十人訳」は完全無欠どころか、問題だらけだからだ。難解な箇所はヘブライ語を音訳してすませることがすくな

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  • 『キリスト教の伝統』J.ペリカン(教文館) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「キリスト教の教理史の定番書」 著者のペリカンは訳者によるとハルナックの孫弟子にあたるらしく、ハルナックの偉大な著作『教理史』について「古くはなったが、いまだに書を乗り越えた著作はない」と称えている。しかし訳者はみずからの著作が、その課題をなしとげたと自慢してもよいかもしれない。少なくともこの一連の著作が、著者がハルナックに捧げた「この分野の研究者なら誰でもそれと競わねばならない初代教会の教理の歴史の一解釈を提示している」(四七一ページ)のはたしかだろう。 ぼくも以前からこの著作の恩恵をこうむっていたが、邦訳がでてみると、新たにその素晴らしさが実感できる。これまで頭の中でもやもやとしていた霞がはれたような気分である。とくにわかりよく説明されているのが、第四章のアレクサンドリア中心の「ホモウシオス」の教義とニカイア信条、第五章のアンティオキア中心の内在する「神のロゴス

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