イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国(ISIS)」が、金や銀などの通貨を発行すると報じられた。これがどのような意味をもつのだろうか。 通貨発行は国家主権をわかりやすく対外的に示すものだ。あえてその主権を捨てているユーロ諸国を除くと、他国通貨で代用している国もあるが、完全な独立国は自国通貨を持っているのが当たり前だ。国際社会から未承認または一部承認の国家でも、通貨を発行しているところもある。 そうした地域にならって、6月に樹立を宣言した「イスラム国」も、「国」としての存在意義を示すために、通貨発行をするのだろう。 「イスラム国」は、メディア戦略も優れている。ネット上で通貨の図柄などを公表しているが、7世紀のカリフ(預言者ムハンマドの後継者)の時代にならい、金貨、銀貨、銅貨を発行するという。「イスラム国」「預言者を模範とするカリフの国」の文字が刻まれている。通貨単位はオスマン帝国が発行した金