■苛酷な歴史に立ち向かう 今年3月にナイジェリアのチヌア・アチェベが82歳で亡くなった。『崩れゆく絆』(古川博巳訳、門土社、品切れ)の原著は1958年の出版。現代アフリカ文学の始まりを告げる画期的な小説である。英語圏では中高生の必読書に指定されている。ぜひ主人公オコンクオの物語を読んでもらいたい。 アフリカは苛酷(かこく)な歴史を生きてきた。奴隷貿易、植民地支配、内戦、飢餓、政治的混乱。アフリカ文学が立ち向かわなければならない課題となった。 最初期のものにオラウダ・イクイアーノ『アフリカ人、イクイアーノの生涯の興味深い物語』(久野陽一訳、研究社、3570円)がある。1756年ごろ、西アフリカの村で11歳の少年が奴隷狩りに遭う。ある商船の船長に買い取られた彼は北米の入植地や西インド諸島を行き来する交易に従事する。やがて自由の身となり、イギリスに渡った彼は自身の体験と見聞を綴(つづ)った本書を
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