このところ音楽ドキュメンタリーの秀作が続き、ロック好きとしては嬉しい限りだが、本作も見るべき逸品。 ザッパの名はカリスマとして多くのロックファンの脳裏に刷り込まれているが、前衛的な音楽性ゆえにヒット曲と呼べるものは少なく、なじみは薄い。売れ線に走らない頑固さがザッパを特別な存在としており、本作はその哲学に焦点を絞る。 生演奏が困難な曲を創作する一方で、政府の音楽検閲に反対するザッパ。それらを地続きのものとしてとらえているのが巧い。The GTOsつながりで『スパークス・ブラザーズ』を連想したが、同作の哲学の軽やかさと見比べるのも一興だ。