石ノ森章太郎『サイボーグ009』は1964年に連載開始。のちに単行本化、アニメ化された。ちりばめられたSFガジェットの数々、シリアスなテーマ、そしてキャラクターたちの魅力は、多くの少年少女を惹きつけた。その後も続篇やメディア化、リメイクなど長期間にわたって展開されつづけている。 本書は、『サイボーグ009』誕生六十周年を記念して企画された書き下ろしアンソロジー。九人の作家が原作の設定を活かしつつ、それぞれの解釈で、平和を願うサイボーグたちの新しい物語を手がけている。 巻頭を飾るのは、辻真先「平和の戦士は死なず」。最初のテレビアニメ版において脚本陣の主柱だった辻真先が、自らが担当した最終回を小説としてリメイクしている。いまだに名場面として語りつがれている、009(島村ジョー/加速装置を備えた主人公)と002(ジェット・リンク/飛行能力を有する)が宇宙から地球へダイビングするエピソードだ。最初