四谷「いーぐる」店主・後藤雅洋さんの著書『ジャズ喫茶いーぐるの現代ジャズ入門』が出版された際、音楽評論家・柳樂光隆は、そのユニークさをこう語っていた。 曰く、「現代ジャズの面白さを伝えようとするテキストでは、『それがいかに新しく、今までのジャズと違うか』ばかりがしばしば説かれる。しかし後藤さんは『新しい音楽が、いかに過去のジャズとつながっているか』をこそ書いている」と。 この後藤さんのスタンスは、いーぐるの選曲にも大いに反映されている。 往年の名盤から最新のジャズまでを幅広く取り扱いながら、そこに長いジャズ史の連続性を聴くことができる——57年に渡りジャズの楽しみを伝え続けてきた名店を、柳樂と訪ねた。 1967年創業、ロック喫茶を前史に持つ古株ジャズ喫茶 今年の春先、アメリカのシカゴからアレハンドロ・アヤラが日本に来ていた。彼はシカゴのレーベルInternational Anthemのチー