1 / 8 米国の r*はやはり上昇している1 2023 年 10 月 23 日 JST 資金運用本部 チーフエコノミスト 鵜飼博史 エコノミスト 関東享佑 要旨 1. 米国の中立金利が今次局面で Fed が longer-run として推計する 2.5%より も上昇しているのではないかとの見方が、コロナ禍からの経済の回復を経 て多く聞かれるようになった。 2. 中立金利を自然利子率(r*)と趨勢インフレ率 2%の和と考えると、これは 自然利子率の上昇と同義である。 3. r*は短期的にはほぼ確実に上昇している。これは、大幅な利上げを行った にも拘わらず、金融市場への波及が弱いこと(長期金利のタームプレミア ムが過去のリセッション時より低水準、他の金融市場のストレスも誘発せ ず)や、インフレの粘着性の高さが主因である。財政赤字の拡大も寄与。 4. 中長期的な r*は、FOMC の経済見通し